今年の終わりに…2017年の本

今年も間もなく終わり。
舞台、映画、展覧会、本、人、沢山のものに今年も出会うことができました。

 

ですが、世界も日本も危険領域に近づきつつあるというのが偽らざる実感でもあります。
そんな中、今年大変感銘を受けた1冊があります。

 

『日本の近代とは何であったのか-問題史的考察』三谷太一郎著、岩波新書

 日本近代の成り立ち、歩みを解き明かす鮮やかな筆さばきには圧倒され、納得させられました。
政治外交史がご専門ですが、その専門と共に大変深い、知識の蓄積が見え隠れします。最近では「教養主義」というのは悪い意味で使われる事があるように思いますが、広く深い「教養」なくして書く事のできない、歴史、思想、人物、さまざまな知識をもとに横断的に書かれこの1冊には大きな感銘を受けました。長く読まれる1冊だと思います。
 常々、なぜ歴史から人は学ばないのだろう、と思っている私にとってはこういう1冊がこの時代に出た事は小さいながらも救いのように感じられるのも事実です。

 

今の政権を担う方々にはこうした書を読んで少し考えを深め、改めて欲しい、と強く願わざるを得ません。

年末年始、日本では大きな区切りの季節にも一読をお薦めしたい一冊です。
私もまた読み返しているところです。

どうぞ良い年の瀬を、そして素晴らしい新年をお迎えください。

秋声館入口

『踊る文豪~秋聲とダンス!~』展覧会@徳田秋聲記念館

秋声館入口

徳田秋聲館入口にて

ダンスステップ

企画展へ向かう通路は踊りたくなる作り。案外ステップが難しいのは体験してみると分かります。

今にも踊り出しそうなレイアウトも素敵な秋聲のシューズ

わ、そんな公演も! 秋聲の「見るダンス」への関心も紹介されています

 
 
 
※会場はパネル前以外は撮影禁止ですが、今回は許可をいただいて撮影しています。

 今回、私が金沢で講演したのは『踊る文豪~秋聲とダンス!~』があるからでした。
徳田秋聲は若い頃からダンスを見続けていただけでなく、何と60歳からダンスを自ら踊り始め、終生の趣味としたのです。そんな秋聲のダンスとの出会いと歩みを見せてくれる展示はとても見応えのあるもの。
秋聲はこんなにも日本のダンス黎明期に立ち会ったのか、と驚くはず。

踊ったシューズも登場しています。残っていたのも幸運な事ですし、やはり「現物」が伝える息吹というものが感じられます。
その他、作品に登場するダンスや新聞連載の際の挿絵のダンスなど、ご紹介しきれない程、楽しく興味深い展示。

 1階は常設展示ですが、こちらも見どころが沢山。今回注目したいのは、再現されている1階の掛け軸。展示毎に掛けかえられているそうですが、今月はダンスとも関係の深い句。
「人魚とワルツ踊らむ月の霄」
素敵ですね。今回講演が始まる前に徳田秋聲記念館館長上田正行さまがご紹介下さった句でもあります。
 2月までとまだ会期がありますので、金沢訪問の折には是非お運び下さいませ。
2階からの浅野川、梅ノ橋の眺めも素敵なので、展示を見た後で一息つきながら眺めるのも一興かと思います。これから寒い季節ですが雪景色も綺麗でしょうね。

そういえば、今回の金沢、初雪、初雹にも出会いました。
アスファルトにどんどんつもる初雹は車のライトに照らされてまるでタピオカのようでした。

 

徳田秋聲記念館
開館時間 9:30~17:00(受付16:30まで)
『踊る文豪~秋聲とダンス!~』は2月24日まで
*12月29日(金)~1月3日(水)は休館
http://www.kanazawa-museum.jp/shusei/index.html

ダンスカフェサロンinあうるすぽっとお運びいただき、ありがとうございました。

講演中。右手が毛利臣男さま。スクリーンに映っているのはスーパー歌舞伎『アマテラス』の衣裳です。 
Photo:Kei Yasuda

毛利臣男さんのお仕事にちなんでプリーツで講師を務めました。 
Photo:Kei Yasuda

ダンスカフェサロン『踊る衣裳~スーパー歌舞伎からパリ・オペラ座まで~』、お運びいただき、ありがとうございました。

 

1992年以来、一度お話を伺いたいと思いながらチュチュ展などを拝見してきた毛利さんにダンスとの出会いから、パリ・オペラ座、ミュンヘン・バレエ団、そして現在のマスク・ダンスまでお話を伺うことができた会でした。
パトリック・デュポンやモーリス・ベジャールの事、もっともっと細かく伺いたい話も沢山、お客様もそういう気持ちだったのでは?
また機会があればいいな、と思っています。

映画『新世紀 パリ・オペラ座』(原題:The Paris Opera)

オペラ・ハウスの実像にぐっと迫った迫力ある映画でした。

(c) 2017 LFP-Les Films Pelleas  - Bande a part Films - France 2 Cinema - Opera national de Paris - Orange Studio  - RTS

(c) 2017 LFP-Les Films Pelleas  - Bande a part Films - France 2 Cinema - Opera national de Paris - Orange Studio  - RTS

オペラ座での写真は少ないのですが、随分前のこんなものが…。ガルニエ宮の屋上にて。

オペラ座での写真は少ないのですが、随分前のこんなものが…。ガルニエ宮の屋上にて。

映画『新世紀 パリ・オペラ座』(原題:The Paris Opera)

 

パリ・オペラ座はガルニエ宮もバスティーユもどちらも一つの町のような劇場だと思います。

この映画は、新たな切り口からオペラ・ハウスの巨大な組織という実像にせまろうとしているように感じました。

 

ジャン=ステファヌ・ブロン監督は、フレデリック・ワイズマン監督の『パリ・オペラ座のすべて』でガルニエは描かれ切っているし、他にも撮られているからという理由でバスティーユを中心としたと語っているそうです。

変容するオペラ座、「現代」のオペラ座を描こうと思った場合、ガルニエの圧倒的な艶やかさよりもバスティーユの方がイメージに合うでしょう。また、バスティーユというのは、革命の勃発した場所、権力を打破する象徴的な場所でもありますから、そんな事も背景にあるのかもしれません。彼が描こうとした新しいオペラ座の姿は地殻変動のさなかの姿ですから、バスティーユがふさわしかったのでしょう。

 

私が初めてバスティーユを訪れたのは1992年。毛利臣男氏美術・衣裳の『白鳥の湖』がとても印象的でした。また劇場から見える光景がこれまでのガルニエとは違った下町風であることも当時は少し不思議に感じたのも覚えています。

今での図書館がガルニエ宮にあることもあり、バスティーユはバレエやオペラそして講演でアンフィテアトルを訪れた位ですから、見たことのないバスティーユ・オペラ座を映画で垣間見られたのも楽しい事でした。

 

『学校とオペラの10カ月』という芸術・文化に触れる機会のない子供たちのプログラムは不勉強にして知りませんでした。英国ではフェスティバルホールでそのような公演に立ち会って感激したことがあるのですが、パリ・オペラ座にもそのようなプログラムがあり、25年以上続いているとはすばらしい事だなと思いました。どうしてもバレエ中心でスケジュールを組んでしまいますが、是非公演にも立ち会ってみたいものです。

 

バレエではミルピエのバレエ芸術監督辞任、オレリー・デュポンの就任が描かれていますが、はっとする台詞も色々。ここまでよく撮れたな、とも思いました。チケットの価格をめぐるリアルなやり取りなどまさに「今」動いているオペラ座を感じました。是非ご覧になって「おっ」と思って下さい。

 

バレエという側面からは2016年に日本公開された『ミルピエ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』(Relève : histoire d'une création)や『パリ・オペラ座を継ぐ者たち』と併せてみるとより理解が深まりそう。

今年はバレエ、オペラ座の映画が豊作な珍しい年で、嬉しい限りです。

この映画を見て実際に舞台へ足を運ぶ観客が増えたらいいな、とも思います。

公開は都内ですとBunkamuraシネマなどで12月9日から。

 

 

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タイトル:「新世紀、パリ・オペラ座」

公開表記:12月9日(土)Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー

クレジット:(c) 2017 LFP-Les Films Pelleas  - Bande a part Films - France 2 Cinema - Opera national de Paris - Orange Studio  - RTS

配給:ギャガ

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監督:ジャン=ステファヌ・ブロン

出演:・ステファン・リスナー(オペラ座総裁)、バンジャマン・ミルピエ(芸術監督)、オレリー・デュポン(芸術監督)、フィリップ・ジョルダン(音楽監督)、ロメオ・カステルッチ(オペラ演出)、ブリン・ターフェル(バリトン)、ヨナス・カウフマン(テノール)、オルガ・ペレチャッコ(ソプラノ)、ミヒャエル・クプファー=ラデツキー(バリトン)、ジェラルド・フィンリー(バリトン)、ミハイル・ティモシェンコ(期待の新星)

原題:The Paris Opera /2017/フランス/カラー/110分/字幕翻訳:古田由紀子/字幕監修:堀内修

公式HP:http://gaga.ne.jp/parisopera/

完成スリッパ

スリッパ作りました。

完成~! 刺繍糸選びや穴あけ楽しかった

完成~! 刺繍糸選びや穴あけ楽しかった

完成スリッパ

マットとの相性もいい感じ?

珍しくワークショップに参加して来ました。
スリッパのワークショップです。
たまたまた軽井沢滞在時に(元ベルコモンズ)を通りがかったら出店されていて、お知らせを見て面白そう!と参加してきました。

 

革のモチーフを選んで刺繍を自由にするのですが、とっても楽しくて、ハマってしまいそう。革の性質上先に穴を開けてから刺繍をしなくてはならないので、刺繍の糸の太さや刺繍の方法など考えてからしなくてはならないのです。
久し振りに中高時代の「手工芸部部長」の血が騒ぐ(?!) 体験でした。
今回は楽焼もしたし、手仕事を色々した夏だったかも。

 

ワークショップの先生はいつもはオーダーシューズを作られているcocokliroliro古川実咲様。
スリッパはS,M,Lサイズで作っておいて下さったものから選びます。とってもしっかりした作りで、ヌメ革なので使っていい風合が出るそうです。大切に履き込みたいと思います。

 

作られている靴も個性的なものも、普段にも履けそうなものも色々。
刺繍の色はオーダーでお願いできるそうです。
サンダルからすっかり靴のシーズンになりましたからお試ししてみてもいいかも。写真を撮り忘れてしまったのですが、ブーツの刺繍がとても素敵でした。

https://cookliroliro.jimdo.com/

新国立劇場でマクミラン版『春の祭典』@新国立劇場 オペラパレス

1920年代、ジャズエイジ!という印象のポスター

 2013年にストラヴィンスキー音楽、ニジンスキー振付で初演された『春の祭典』は現在に至るまで沢山の振付家によって新しいバージョンが生まれ続けています。

ストラヴィンスキーの音楽が振付家、ダンサーを刺激してやまないということでしょう。

そんなバージョンの一つ、1962年初演、マクミラン版の『春の祭典』が小林紀子バレエ団によって日本初演されましたので見てきました。

 

 英国では『春の祭典』100周年に際して英国ロイヤル・バレエ団で上演されたのですが、私はパリ、シャンゼリゼ劇場のオリジナルのニジンスキー版再現上演とサシャ・ヴァルツの同時上演を見に行っており、見られなかったのです。

 

 You Tubeで初演を踊った元英国ロイヤル・オペラ・バレエの芸術監督モニカ・メイソンのインタビューと指導時の映像やin sight という英国ロイヤル・バレエ団のプログラム時の指導映像を見ることができます。こういう映像はありがたいですね。

https://www.youtube.com/watch?v=QzY_JDr3xws

https://www.youtube.com/watch?v=RfGrZZX_nd0

https://www.youtube.com/watch?v=OZ97W_rRGiQ

 

 手形がついた衣裳、長いウィッグといったインパクトの強い初演の衣裳とは違いましたが、今回の美術・衣裳は2012年イングリッシュ・ナショナル・バレエ団再演時のデザイナー、キンダー・アグニーニによるアボリジニに想を得たという独特のもの。

個人的にはオリジナルも見て見たかったな、と思いましたが、プリミティブな印象はこの

美術・衣裳の方が強いのかもしれません。

 

 1960年代ならではの空気感もある振付で、意義深い公演だと思いました。

『春の祭典』は本当に振付家・ダンサーを魅了し続けていますが、マクミランも魅了された一人だったようです。

 

 面白いのは音楽のインパクトがあまりに強いためか、あるいはストラヴィンスキーが考えたという円になって踊るというイメージが強いためか、それとも初演のニジンスキー版のイメージゆえなのか、かなりの確率で円形になって立つ群舞、そして最後は一人あるいは二人が中央に持ち上げられる場面で終了する事でしょうか。

 

 同時に上演された同じくマクミラン振付『La Fin du Jour』は元々ゲランの「ルール・ブルー」というタイトルとされていた(商標のため使用できずに現在のタイトルになった)洒脱な作品でした。

『バレエの情景』はアシュトン振付で1948年に初演されましたが、実はこの音楽に最初に振付けたのはバレエ・リュスの最後のスターの一人、アントン・ドーリンなのです。個人的にはそうした歴史的なエピソードもプログラムで紹介いただけたら、少しずつでもバレエ・リュスが身近になるのに、とつい思ってしまいます。

この作品はバレエ・リュスの『ロミオとジュリエット』と「現在の“レ・シルフィード」を掛け合わせたような作品、という印象でした。その当時の最新のファッションイメージと軽快で、洒落た振付けは、初演の少し前のノスタルジーを感じさせる作品でもありました。

 

 マクミラン没後25周年記念と銘打たれたこのトリプル・ビル、なかなか日本で上演されない作品を見られる貴重な公演でした。せっかくの機会なので、プログラムにもう少し作品についての紹介があると多くの人に理解されやすいかもしれないな、と思いました。

三若差し上げ

祇園祭も終わり

鷹山お囃子

鷹山のお囃子も楽しみました

手作り茅の輪。ちゃんと丸く仕上がりました

大茅の輪をくぐります

三若差し上げ

三若(中御座)神輿、最後の差し上げ。旗と提灯にも注目です!

四若(東御座)の勇壮な差し上げ。最後の鐶鳴らしのテンションもMaxでした

錦差し上げ

錦(西御座)差し上げ。一番遅い時間に八坂神社に到着されます。たまたま他の方のカメラフラッシュで明るくとれました

 後祭を追えて、7月31日、祇園祭は無事幕を下ろしました。
今年も沢山の新しい瞬間、心奪われる瞬間に立ち会うことができました。 

 

 祇園祭の本を出した年、ということで新しい出会いもありました。また、バレエの時とは違う方達からの反応をいただいたり、嬉しい場面も沢山ありました。

 

 後祭の宵山では鷹山が初めての日和神楽。新しい屋台も立派でした。一歩ずつ復興に向かう姿に見守る人の数も増加の一途をたどっています。会所に出されていた「権之助茶屋」の黒蜜のかき氷もとても美味、ありそうでなかったメニューで人気がでそうです。

 

 後祭では『祇園祭の愉しみ』の素晴らしい写真を撮られた井上成哉様が八幡山の行司役をされていたので、ご説明もいただきながら、いつも以上に熱心に拝見しました。鳩が可愛らしく、また屏風祭も楽しい山です。

 

 昼は後祭の巡行を追いかけ、夜は御神輿さんを追いかけて、深夜の御霊戻しまで歩きまわりました。(携帯の万歩計によれば3万7千歩(!) だそう)
ここに立ち会うと、あぁそろそろ終わりと寂しくなります。御神輿を担がれている方達も還幸祭が近づくと寂しくなるとおっしゃられていました。

 

 そして、31日、同じ八坂神社の「疫神社夏越祭」で大茅の輪をくぐり、茅の輪を作って「蘇民将来之子孫也」の護符をいただきました。今年は友人の分と3つ。少しずつ上手になってきたな…。

 

 また1年無事で過ごせますように、そしてまた来年…の祈りを込めて。

 

『祇園祭の愉しみ~山鉾と御神輿の悦楽~』(京都しあわせ倶楽部)、PHP出版『祇園祭の愉しみ~山鉾と御神輿の悦楽~』芳賀直子著 好評発売中発売

Leningrad hotel

『レニングラードホテル』と『桃』~“美丈夫”の日?~

Leningrad hotel

ムード溢れる『レニグラード・ホテル』入口。お花も沢山届いていました。

桃

入口に飾られているのはフライヤーの表、内側とのコントラストが印象的

モノクロを開くと色っぽい桃色、なのですがこれも上手に撮るのは難しい色

舞台の多い時期でどれを見に行くか迷います。
昼はスパイラルホールで『レニングラードホテル』、夜は神楽坂セッションハウスで『桃』。

 

『レニングラード・ホテル』は首藤康之さんとCAVAによるもの。
チラシ、ポスターの雰囲気そのままの洒脱でスタイリッシュな舞台。席におかれているインビテーションカードのような当日プログラムも洒落た作りでした。台詞がないのに台詞が聞こえてきそうな独特の世界をキャラクター設定がはっきりした出演者で楽しむことができました。
首藤康之氏の存在感は舞台を引きしめているように感じました。バレエ・ダンサーから始めて着実に新しい表現の世界を広げていく首藤康之氏の姿は頼もしいな、と感じます。そしてもっと見たいと思った舞台でした。

 

夜は『桃 Spooky action at a distance!!』
こちらは言葉も発する作品でしたが、色々な感覚を刺激してくる舞台でした。振付の鯨井謙太郎氏は意外な事にソロは昨年が初めて、今回は多人数のダンサーを振付。これまでと違う方法論を試みたとの事で、定方まこと氏とのユニット、CORVUSともまた違った世界観で、この先も楽しみ。
当日プログラムの「地上で起る事は 地上で終る 地上で起こらぬ事は 地上で終わらぬ」という一文が残りました。

 

そして、アフタートークでもなるほど、と思う事が色々ありました。
まさか本当のお母さまとの共演とは不勉強にして気付きませんでしたし。
鯨井氏は何といっても身体が切れるので、動いてしまえば圧倒的なのですが、動かず表現をというところはまだまだよくなりそう。

 

いずれも見応えのある公演でした。

ジゼル

『ジゼル』から『Mariage』へ… 『ジゼル』@上野 東京文化会館  CAT-A-TAC『Mariage』@神楽坂 セッションハウス

新国立劇場バレエ団の『ジゼル』 劇場は実は水辺にあるとも言えます(ヒラリオン・ハンスが落とされるのは沼ですけれど)

ジゼル

K Ballet『ジゼル』の公演プログラムはいつも大判サイズです

CAT-A-TAC

作品フライヤーからも楽しさが伝わる?!

グッズデザイナーでもある藤田善宏氏によるグッズも魅力的。昨年のバッグと今回のTシャツ。あまりグッズに興味がない私もつい欲しくなる可愛さです。

 今年の日本は『ジゼル』の当たり年と言えそうです。
ボリショイ・バレエ団に始まり、新国立劇場、K Balletと『ジゼル』が続きました。
難しい事は承知ですが、“『ジゼル』共通チケット”のようなものがあれば、手軽に違うカンパニーで同じ作品を見る楽しさを多くの人が楽しめるのに…と思わずにいられません。バレエは作品で見ても面白いですし、人で見ても、縦糸横糸色々なので、そうした楽しみ方に多くの人がアクセスできればいいなと思います。

 

 『ジゼル』は『白鳥の湖』と違って結末がバージョンやバレエ団によって違うということはありませんが、役名含め違いはあります。
また、人物や心情の描き方も様々です。ジゼルは気弱で病弱な少女なのか、元気いっぱいだけれど心臓に持病があるという影を持つ少女なのか、アルブレヒトの恋は戯れなのか、本気なのか、そしてヒラリオン(新国立バレエ団上演のセルゲーエフ版ではハンス)の姿は粗野で向こう見ずな姿から、「愛されキャラ」まで幅広いですから、見どころが沢山。同じバレエ団でも踊る人によって作品世界はもちろん変わりますから、そんな楽しみ方もしたいものです。

 

 K Balletの荒井裕子氏のジゼルは本当に可愛らしい町娘。その純真な恋心が悲劇へ向かう様は心に迫るものがありました。ジゼルになってからの凛とした姿、そしてふわりと跳ぶ様はやっぱりロマンティック・バレエの傑作の一つだなと思う出来栄え。
山本雅也氏は瑞々しい王子を演じ、好印象。堀内将平氏のヒラリオンはジゼルに獲物ではなく花をプレゼントしますが、それにすら気付いてもらえず、苛立ち、苦しむ姿も印象に残りました。また、アルブレヒトの従者ウィルフリードの心情、行動にはリアルな人間を感じました。
 新国立劇場の『ジゼル』は木村優里氏で見ましたが、とても丁寧で繊細なジゼル、本当に飛んで消えてしまいそうな儚い佇まいでした。渡部峻郁氏は少しのほほんと育てられた王子という印象、ハンスの中家正博氏の演技力はインパクトの強いものでした。
 写真が撮れませんでしたが、ロビーの氷のデザートも気分にも陽気にもぴったりでした。こういう「遊び」も劇場には大切だな、と思います

 

 『ジゼル』を見た後で向かったのは『Mariage』…とちょっと面白い取り合わせになりました。
CAT-A-TACはコンドルズのメイン・ダンサーの一人である藤田善宏氏の個人ユニットですが昨年12月の『FUTARI de ZUCCU』も楽しくてちょっとキュンとする作品でした。今回も遊び心に溢れ、肉体的には実は難しい場面もさらりと面白く見せたり、何とも軽やかで個人のキャラクターが立った作品で、楽しく幸せな気持ちになりました。説明的すぎないけれどストーリーはクリア。まさにフライヤーにある「ちょっと変わったパフォーマンスダンスストーリー」の通り。
 ダンスにあまりなじみがない人をお連れしてもきっと楽しんでいただける作品。それでありながらダンスとしても面白い!藤田善宏氏の作品は今後も見たいな、楽しみだなと思います。