映画『新世紀 パリ・オペラ座』(原題:The Paris Opera)

オペラ・ハウスの実像にぐっと迫った迫力ある映画でした。

(c) 2017 LFP-Les Films Pelleas  - Bande a part Films - France 2 Cinema - Opera national de Paris - Orange Studio  - RTS

(c) 2017 LFP-Les Films Pelleas  - Bande a part Films - France 2 Cinema - Opera national de Paris - Orange Studio  - RTS

オペラ座での写真は少ないのですが、随分前のこんなものが…。ガルニエ宮の屋上にて。

オペラ座での写真は少ないのですが、随分前のこんなものが…。ガルニエ宮の屋上にて。

映画『新世紀 パリ・オペラ座』(原題:The Paris Opera)

 

パリ・オペラ座はガルニエ宮もバスティーユもどちらも一つの町のような劇場だと思います。

この映画は、新たな切り口からオペラ・ハウスの巨大な組織という実像にせまろうとしているように感じました。

 

ジャン=ステファヌ・ブロン監督は、フレデリック・ワイズマン監督の『パリ・オペラ座のすべて』でガルニエは描かれ切っているし、他にも撮られているからという理由でバスティーユを中心としたと語っているそうです。

変容するオペラ座、「現代」のオペラ座を描こうと思った場合、ガルニエの圧倒的な艶やかさよりもバスティーユの方がイメージに合うでしょう。また、バスティーユというのは、革命の勃発した場所、権力を打破する象徴的な場所でもありますから、そんな事も背景にあるのかもしれません。彼が描こうとした新しいオペラ座の姿は地殻変動のさなかの姿ですから、バスティーユがふさわしかったのでしょう。

 

私が初めてバスティーユを訪れたのは1992年。毛利臣男氏美術・衣裳の『白鳥の湖』がとても印象的でした。また劇場から見える光景がこれまでのガルニエとは違った下町風であることも当時は少し不思議に感じたのも覚えています。

今での図書館がガルニエ宮にあることもあり、バスティーユはバレエやオペラそして講演でアンフィテアトルを訪れた位ですから、見たことのないバスティーユ・オペラ座を映画で垣間見られたのも楽しい事でした。

 

『学校とオペラの10カ月』という芸術・文化に触れる機会のない子供たちのプログラムは不勉強にして知りませんでした。英国ではフェスティバルホールでそのような公演に立ち会って感激したことがあるのですが、パリ・オペラ座にもそのようなプログラムがあり、25年以上続いているとはすばらしい事だなと思いました。どうしてもバレエ中心でスケジュールを組んでしまいますが、是非公演にも立ち会ってみたいものです。

 

バレエではミルピエのバレエ芸術監督辞任、オレリー・デュポンの就任が描かれていますが、はっとする台詞も色々。ここまでよく撮れたな、とも思いました。チケットの価格をめぐるリアルなやり取りなどまさに「今」動いているオペラ座を感じました。是非ご覧になって「おっ」と思って下さい。

 

バレエという側面からは2016年に日本公開された『ミルピエ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』(Relève : histoire d'une création)や『パリ・オペラ座を継ぐ者たち』と併せてみるとより理解が深まりそう。

今年はバレエ、オペラ座の映画が豊作な珍しい年で、嬉しい限りです。

この映画を見て実際に舞台へ足を運ぶ観客が増えたらいいな、とも思います。

公開は都内ですとBunkamuraシネマなどで12月9日から。

 

 

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タイトル:「新世紀、パリ・オペラ座」

公開表記:12月9日(土)Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー

クレジット:(c) 2017 LFP-Les Films Pelleas  - Bande a part Films - France 2 Cinema - Opera national de Paris - Orange Studio  - RTS

配給:ギャガ

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監督:ジャン=ステファヌ・ブロン

出演:・ステファン・リスナー(オペラ座総裁)、バンジャマン・ミルピエ(芸術監督)、オレリー・デュポン(芸術監督)、フィリップ・ジョルダン(音楽監督)、ロメオ・カステルッチ(オペラ演出)、ブリン・ターフェル(バリトン)、ヨナス・カウフマン(テノール)、オルガ・ペレチャッコ(ソプラノ)、ミヒャエル・クプファー=ラデツキー(バリトン)、ジェラルド・フィンリー(バリトン)、ミハイル・ティモシェンコ(期待の新星)

原題:The Paris Opera /2017/フランス/カラー/110分/字幕翻訳:古田由紀子/字幕監修:堀内修

公式HP:http://gaga.ne.jp/parisopera/

新国立劇場バレエ研修所『オータム・コンサート 2017』が開催されます

バレエ史を担当している新国立劇場バレエ研修所の発表公演が下記の2回行われます。これからのスターを見つけにでかけてはいかがでしょうか?
チケットもとてもリーズナブルなのでお友達も誘いやすいかもしれませんね。ゲストには芳賀望さんも出演されます。

 

2017年11月18日(土)19日(土) 両日とも15:00開演
会場:新国立劇場 中劇場
全席指定:2160円(税込)

 

http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/performance/28_011064.html

講座 毛利臣男さんをお招きしてお話を伺います。

ダンスカフェサロンinあうるすぽっと2017『ダンスの観方、読み方』が下記の通り開催されます。

後期4回目に毛利臣男氏の聞き手として登壇いたします。1992年のパリ・オペラ座『白鳥の湖』の鮮烈な衣裳は今でも忘れがたいですし、今年香港ではミュンヘン・バレエの『ラ・バヤデール』も毛利臣男氏によるものでした。

知られざるエピソードなど、ここならではのお話をうかがえることと思います。是非お運びください。

 

11月11日(土)19:00

「踊る衣裳~スーパー歌舞伎からパリ・オペラ座まで~」

会場:あうるすぽっと3階 会議室

料金:500円

定員:30名(予約優先)

 

予約先:dancecafe-21@krb.biglobe.ne.jp

    ➀参加希望講座名 ②お名前(ふりがな) ③ご連絡先(お電話番号もしくはEmail)

桜沢エリカさんの描く『バレエ・リュス~パリが煌めくとき~』

桜沢エリカ『バレエ・リュス ニジンスキーとディアギレフ』発売

桜沢エリカさんの描く『バレエ・リュス~パリが煌めくとき~』

桜沢エリカさんの描く『バレエ・リュス ニジンスキーとディアギレフ』が間もなく発売されます。学術協力させていただいた作品ですが、今回巻末にエッセイを書かせていただきました。
バレエ・リュスが桜沢エリカさん(原案:市川しんすさん)の手から多くの人の元に届けばと思っております。

 

是非お手に取ってご覧くださいませ!
美しい表紙にも気分が盛り上がるはず。

 

よろしくお願いいたします。

 

『バレエ・リュス ニジンスキーとディアギレフ』
(フィールコミックス) 1296円(税込)
発売日:2017年10月7日

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新国立劇場でマクミラン版『春の祭典』@新国立劇場 オペラパレス

1920年代、ジャズエイジ!という印象のポスター

 2013年にストラヴィンスキー音楽、ニジンスキー振付で初演された『春の祭典』は現在に至るまで沢山の振付家によって新しいバージョンが生まれ続けています。

ストラヴィンスキーの音楽が振付家、ダンサーを刺激してやまないということでしょう。

そんなバージョンの一つ、1962年初演、マクミラン版の『春の祭典』が小林紀子バレエ団によって日本初演されましたので見てきました。

 

 英国では『春の祭典』100周年に際して英国ロイヤル・バレエ団で上演されたのですが、私はパリ、シャンゼリゼ劇場のオリジナルのニジンスキー版再現上演とサシャ・ヴァルツの同時上演を見に行っており、見られなかったのです。

 

 You Tubeで初演を踊った元英国ロイヤル・オペラ・バレエの芸術監督モニカ・メイソンのインタビューと指導時の映像やin sight という英国ロイヤル・バレエ団のプログラム時の指導映像を見ることができます。こういう映像はありがたいですね。

https://www.youtube.com/watch?v=QzY_JDr3xws

https://www.youtube.com/watch?v=RfGrZZX_nd0

https://www.youtube.com/watch?v=OZ97W_rRGiQ

 

 手形がついた衣裳、長いウィッグといったインパクトの強い初演の衣裳とは違いましたが、今回の美術・衣裳は2012年イングリッシュ・ナショナル・バレエ団再演時のデザイナー、キンダー・アグニーニによるアボリジニに想を得たという独特のもの。

個人的にはオリジナルも見て見たかったな、と思いましたが、プリミティブな印象はこの

美術・衣裳の方が強いのかもしれません。

 

 1960年代ならではの空気感もある振付で、意義深い公演だと思いました。

『春の祭典』は本当に振付家・ダンサーを魅了し続けていますが、マクミランも魅了された一人だったようです。

 

 面白いのは音楽のインパクトがあまりに強いためか、あるいはストラヴィンスキーが考えたという円になって踊るというイメージが強いためか、それとも初演のニジンスキー版のイメージゆえなのか、かなりの確率で円形になって立つ群舞、そして最後は一人あるいは二人が中央に持ち上げられる場面で終了する事でしょうか。

 

 同時に上演された同じくマクミラン振付『La Fin du Jour』は元々ゲランの「ルール・ブルー」というタイトルとされていた(商標のため使用できずに現在のタイトルになった)洒脱な作品でした。

『バレエの情景』はアシュトン振付で1948年に初演されましたが、実はこの音楽に最初に振付けたのはバレエ・リュスの最後のスターの一人、アントン・ドーリンなのです。個人的にはそうした歴史的なエピソードもプログラムで紹介いただけたら、少しずつでもバレエ・リュスが身近になるのに、とつい思ってしまいます。

この作品はバレエ・リュスの『ロミオとジュリエット』と「現在の“レ・シルフィード」を掛け合わせたような作品、という印象でした。その当時の最新のファッションイメージと軽快で、洒落た振付けは、初演の少し前のノスタルジーを感じさせる作品でもありました。

 

 マクミラン没後25周年記念と銘打たれたこのトリプル・ビル、なかなか日本で上演されない作品を見られる貴重な公演でした。せっかくの機会なので、プログラムにもう少し作品についての紹介があると多くの人に理解されやすいかもしれないな、と思いました。

宇野亞喜良氏『定本薔薇の記憶』に!

「定本 薔薇の記憶」 宇野亞喜良

誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。独特の表情。

“マジョリ画”

“マジョリ画”になった私。似てるかしら?

『定本 薔薇の記憶』ディアギレフが描かれたページ

ディアギレフが描かれたページに登場できて光栄です。

 少し遅いご紹介になってしまいましたが、イラストレーター宇野亞善良氏の新刊エッセイ集に登場しておりました。
大好きなイラストレーター、お目にかかれたのも嬉しく、さらにお話も楽しかったのですが、大変著名な方ですから、私の事をご記憶とは想像もしませんでしたから、思いがけない嬉しい事でした。

 

 新書館から出されていたバレエの本でディアギレフの肖像を描かれていて、当時意外ではあったのですが、人となりが伝わるようなイラストで、印象に残りました。
私が知ったのは中高時代。フランスのアンニュイさが伝わって来るような独特の少女達、猫が多く描かれた世界は魅惑的でした。

 

 その後、お芝居のチラシや少し前にはCDジャケットで見かけてやっぱりいいな、と思い、昨年は資生堂のマジョリカマジョルカというブランドで肖像画を作ってくれる“マジョリ画”というサービスが気に入って友人にも自分にも作ったりしました。

 

 私が登場するのは数ページですが、他のページも大変魅力満ちたもの。是非お手に取って宇野亞喜良氏の文字による魅力的な世界に触れてみて欲しいな、と思います。

フィール・ヤング表紙

ご紹介とプレゼントのお知らせ

フィール・ヤング表紙

 現在発売中の『フィール・ヤング』(祥伝社)2017年9月号で『祇園祭の愉しみ 山鉾と御神輿をめぐる悦楽』を素敵な文章でご紹介いただきました。2名様にプレゼントも。

 

 まだ買っていなかった!という方は是非ご応募ください。
『フィール・ヤング』、意外な作品の場面に祇園祭も登場していました!探してみてください。

三若差し上げ

祇園祭も終わり

鷹山お囃子

鷹山のお囃子も楽しみました

手作り茅の輪。ちゃんと丸く仕上がりました

大茅の輪をくぐります

三若差し上げ

三若(中御座)神輿、最後の差し上げ。旗と提灯にも注目です!

四若(東御座)の勇壮な差し上げ。最後の鐶鳴らしのテンションもMaxでした

錦差し上げ

錦(西御座)差し上げ。一番遅い時間に八坂神社に到着されます。たまたま他の方のカメラフラッシュで明るくとれました

 後祭を追えて、7月31日、祇園祭は無事幕を下ろしました。
今年も沢山の新しい瞬間、心奪われる瞬間に立ち会うことができました。 

 

 祇園祭の本を出した年、ということで新しい出会いもありました。また、バレエの時とは違う方達からの反応をいただいたり、嬉しい場面も沢山ありました。

 

 後祭の宵山では鷹山が初めての日和神楽。新しい屋台も立派でした。一歩ずつ復興に向かう姿に見守る人の数も増加の一途をたどっています。会所に出されていた「権之助茶屋」の黒蜜のかき氷もとても美味、ありそうでなかったメニューで人気がでそうです。

 

 後祭では『祇園祭の愉しみ』の素晴らしい写真を撮られた井上成哉様が八幡山の行司役をされていたので、ご説明もいただきながら、いつも以上に熱心に拝見しました。鳩が可愛らしく、また屏風祭も楽しい山です。

 

 昼は後祭の巡行を追いかけ、夜は御神輿さんを追いかけて、深夜の御霊戻しまで歩きまわりました。(携帯の万歩計によれば3万7千歩(!) だそう)
ここに立ち会うと、あぁそろそろ終わりと寂しくなります。御神輿を担がれている方達も還幸祭が近づくと寂しくなるとおっしゃられていました。

 

 そして、31日、同じ八坂神社の「疫神社夏越祭」で大茅の輪をくぐり、茅の輪を作って「蘇民将来之子孫也」の護符をいただきました。今年は友人の分と3つ。少しずつ上手になってきたな…。

 

 また1年無事で過ごせますように、そしてまた来年…の祈りを込めて。

 

『祇園祭の愉しみ~山鉾と御神輿の悦楽~』(京都しあわせ倶楽部)、PHP出版『祇園祭の愉しみ~山鉾と御神輿の悦楽~』芳賀直子著 好評発売中発売

映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』本日公開!

『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』

3月のパリの地下鉄で写真を撮る人が絶えないので何かしら、と思ったらポルーニン出演のDIESELの広告でした。“MAKE LOVE NOT WALLS”(下には小さくフランス語)確かに‼‼

『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』

美しい写真やインタビューが満載のパンフレット。私も“「野獣のよう」と評されるダンサーの系譜~ニジンスキーからポルーニンまで~”を寄稿しました。是非会場で!

『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』

光降り注ぐ中のポルーニンは何を祈っているのでしょう…

 今年公開されるバレエ映画の中でも多方面から注目を集めるのがこの映画です。You Tubeでの「Take me to church」は現時点で1200万回という驚異的なView数となっています。その数字はポルーニンがバレエ関係者以外の人にも知られたと言う事を証明していると言えそうです。
実際、私も思いがけない場所でこの映画が公開される随分前から、いつ公開かと聞かれたり、とこれまでのバレエ映画とは全く違う手応えを感じました。
以前こちらでもご紹介したイヴェントでのポルーニンは背景がパイプオルガンだったこともあって、映像とは別の魅力もありました。

 

 映画は何かを極める事の熾烈さとそこから立ち上がり前を向いた人間の透明感ある強さを感じさせるもので、何回も見たいと思う出来栄え。年代、自分の状況、それぞれに「刺さる」台詞や場面がありそうです。

 

 写真展、来場者プレゼント、SNSプレゼント等イヴェントも目白押しです。公式サイトで順次更新されています。

 

公式サイト:
 http://www.uplink.co.jp/dancer/