鯨井謙太郒『灰のオホカミ』@テレプシコール

入口ポスター

チラシと共に髙木由利子氏による印象的な写真ビジュアル

大変意外な事に、鯨井謙太郒氏初のソロダンス、ということでどうして見たいと思い中野テレプシコールに行きました。満席。(後でソールドアウトと知りました)

 

笠井叡氏の天使館で学び、数々の作品に出演してきたオイリュトミスト、ダンサーで定方まこと氏とのユニットCORVUSでも活動を続けており、印象に残る一人でしたから、気になったのです。

 

14年目にして初というソロは、「初ものらしい」と言える側面もありました。つまり、やりたいことを盛り込んだ感じの作品でした。

 

ご本人が作品ノートに書かれている言葉の通り「身体は、刀鍛冶が鉄を打つように熱せられては冷却され」ながら磨かれた身体は非常に美しく、存在感があります。

 

70分程の作品では時にセリフを、音楽を、叫び(咆哮?)が入るものでした。セリフ語りの部分はオイリュトミストの姿を、そしてCORVUSの場面を思い出したところもありました。印象に残ったのは、多くは語られないものの、作品の背景にある3月11日前と以降の日本があったことでしょうか。宮崎県仙台出身ということからも色々な思いがあって作られた作品なのだろうと思います。

放射能についての注意事項の流れる音声なども使われていましたが、今もそこにある事実であり、危機ですから…。

 

滅んだ日本オオカミ、滅びゆく世界を考える時となりました。

何よりも圧倒的な身体を持つダンサーの見応えある舞台でした。

 

今回の作品は盛りだくさんな内容で、3~4作品の種(あるいはもっとかも)を内包しているように感じました。それを一つずつ丁寧に作品にしていく姿も見たいと思いました。

次回の公演も楽しみです。