展覧会入口

手前から『シェエラザード』のゾベイダのヘッド・ドレス、衣裳、壁には『火の鳥』の衣裳のタマラ・カルサヴィナ、その奥にもバクストの舞台衣裳デザインが見えます。

バクストからディアギレフへの手紙も(1919年3月24日付)

バレエ・リュスの大パトロネス、ミシアのための帽子デザイン。バレエ・リュスで活躍している時期に手掛けていたのも興味深い事です。

出品内容の多くが既に見たものだから、見送ろうかなと一度は思ったものの、やはり見たくなって閉幕間際のバクスト展を見に行ってきました。

以前、同じパリ・オペラ座ガルニエの会場で開催されたバレエ・リュス、バレエ・スエドワ展の時より明らかに入場者が多かったのは全体の入場者が増えているからなのか、それともバクストにある程度知名度が(日本と違って)あるのかは判然としませんでした。

 

ファッション・デザイナーとしての部分もクローズ・アップして紹介していましたが、これは忘れられがちな彼の顔の一つかもしれません。時期もファッション・ウィークに重なっていたので、そうした方々も足を運ばれたかもしれません。

バクストは帽子、衣裳、テキスタイルなどもデザインも手がけていましたが、そうしたデザインの展示は見に行った価値がありました。

彼のデザインの影響力は死後、現在に至るまで定期的に繰り返しデザイン・ソースとして多くのデザイナーに用いられているほどです。出品されていたカール・ラガーフェルドによるクロエだけではなく、1998年のガリアーノによるクリスチャン・ディオールのコレクション(ショーも『牧神の午後』の動き、イメージが多数ちりばめられていました)、エルメス、稲葉賀恵…と色々なデザイナーが用いています。

画家、舞台美術家、衣裳デザイナー、そしてテキスタイル、ファッション、さらにはコティなどの化粧品パッケージまで手広い彼の活躍を紹介した展覧会でした。

 

会場では『牧神の午後』『薔薇の精』も上演されていました。3月31日に1日だけ日本で上映された2009年のバレエ・リュス記念公演も一部場内で上映されて、こちらもなかなかの混雑ぶりでした。

 

なかなか豪華なカタログも発行されました。出品作品についてはもちろん、詳細な年表に映画、デザイナーとしての顔、また映画との問題など内容も充実しています。会期後もオペラ座や書店で購入可能。