ポスタービジュアルも印象的な『JUDA, CHRIST WITH SOY』

初日乾杯。左からエラ・ホチルド氏、森山未來氏、小野慎司プロデューサー

スポットライトも消えた後なので暗いのですが、頭が見えない独特の姿の「ヘッドレス」の姿が印象的。

 2017年1本目は横浜赤レンガの『JUDA, CHRIST WITH SOY』でした。

エラ・ホチルド氏、森山未來氏による作品。イスラエル、愛媛で上演された作品ですが私は初見でした。

会場、照明、音楽、ダンスがぴたっとあった気持のいい舞台。森山未來氏は「踊りもプロフェッショナル並の役者」から本当にダンサー、として舞台に上がったという印象。身体がこれまでと違いました。

 太宰の『駆け込み訴え』に想を得たといいますが、本当に背景を流れる感じとの森山氏の言葉通り、物語を追うというよりは感情、関係を追うという作品でした。

 

 同会場で横浜ダンス・コレクションの幕開け作品として26日に初演された『VESSEL yokohama』にも森山氏が出演。

こちらも圧倒的な魅力を放った作品でした。客席も美術業界から豪華な顔ぶれが並んでいたのも印象的。名和晃平氏とのコラボレーション作品ということで通常のダンス業界の観客だけではない客層にアピールしたということのようです。こうした事はとても重要。「~業界」という小さな枠の中では限界が次々出てきてしまいますから…。

 ダンスも時々手掛けている原摩利彦氏の音楽も見事でした。空気感を醸し出すことができる音楽家だといつも感じます。

 

 初日乾杯で小野プロデューサーが「会場の外から聞こえた船の汽笛がこれから始まるこの作品の船出の合図に聞こえた」(メモを取っていないので意味だけおとり下さい)という言葉に大いにうなずきました。世界でも通用する強度のある作品でした。

 ダミアン・ジャレの振付による頭を見せない身体でほぼ全編踊られる作品で身体は「クリーチャー」となり、目が離せませんでした。舞台美術も素材は企業秘密とも聞きますが、とろりと肌に乗って落ちると白い被膜のように見える質感が身体の存在をさらに引き立たせていました。

 最後の場面については意見が分かれる部分もあるそうですが、私は此の時代に最初細胞のように見える美術の中から生まれその中に戻って行く、というイメージが浮かびました。

 美しく、見応えのある素晴らしい作品でした。

今年は幸先がいい感じです。

そして、2月19日まで続く横浜ダンス・コレクション、どんな作品、ダンサーに出会えるでしょうか。