日本・オーストリア外交樹立150周年だからこそ25点もの来日作品が揃うと開幕前から話題になっていたクリムト展が開幕しました。見ごたえのある内容で、そういえばグスタフ・クリムト(1862~1918)の人生についてはさほど関心をはらってこなかったことに気づかされました。常に猫をかっていたそうですが、猫の絵がないのはちょっと不思議。
スケッチや素描などの出品もうれしいもの。淡いタッチは実際に見ないと伝わらないな、と。画家の息吹を運んでくれる素描の魅力を感じました。
今回の目玉作品の一つ『ユディト』は彼の作品の中で初めて(今では彼の絵画の典型的なイメージではありますが)金箔を用いたそうですが、さすがに力のある作品でした。今回の美術館滞在中にも何回も見に戻って楽しみました。
『ユディト』は画家に頻繁に描かれてきたテーマですが、今年の秋のカラヴァッジョ展では、大阪会場だけですが『ホロフェルネスの首を斬るユディト』が出品されますから、それと合わせて画家によるイメージの違いを楽しむのもよさそうです。
ちなみにこの展覧会、札幌を皮切りに名古屋、大阪の三会場で東京開催はないのですが、わざわざ出かけていく価値がありそうです。
話が別の展覧会の事になってしまいましたが、今回のクリムト展、実に30年ぶりというのは国内でのクリムト人気を考えても意外でした。7月までと会期も長いので足を運びやすいのではないでしょうか。
カタログには会場では『ユディト』の構想ページが展示されている赤いスケッチブックの全点が掲載されていて、うれしかったです。(展示を見ているときに中も見たい!と思ったので)読み応えもあるカタログでした。