今年も間もなく終わり。
舞台、映画、展覧会、本、人、沢山のものに今年も出会うことができました。
ですが、世界も日本も危険領域に近づきつつあるというのが偽らざる実感でもあります。
そんな中、今年大変感銘を受けた1冊があります。
『日本の近代とは何であったのか-問題史的考察』三谷太一郎著、岩波新書
日本近代の成り立ち、歩みを解き明かす鮮やかな筆さばきには圧倒され、納得させられました。
政治外交史がご専門ですが、その専門と共に大変深い、知識の蓄積が見え隠れします。最近では「教養主義」というのは悪い意味で使われる事があるように思いますが、広く深い「教養」なくして書く事のできない、歴史、思想、人物、さまざまな知識をもとに横断的に書かれこの1冊には大きな感銘を受けました。長く読まれる1冊だと思います。
常々、なぜ歴史から人は学ばないのだろう、と思っている私にとってはこういう1冊がこの時代に出た事は小さいながらも救いのように感じられるのも事実です。
今の政権を担う方々にはこうした書を読んで少し考えを深め、改めて欲しい、と強く願わざるを得ません。
年末年始、日本では大きな区切りの季節にも一読をお薦めしたい一冊です。
私もまた読み返しているところです。
どうぞ良い年の瀬を、そして素晴らしい新年をお迎えください。