『SWAN MAGZINE』 に 『THE BALLET BOOK バレエっておもしろい!!』 をご紹介いただきました

SWAN MAGZINE 2016春号、Vol.43 表紙

SWAN MAGZINE 2016春号、Vol.43に長野市芸術劇場の開館イヴェントに合わせて、執筆・画像提供したTHE BALLET BOOK バレエっておもしろい!!をご紹介いただきました。

プレゼントとしてもご提供しているので、ご覧くださいませ。

バレエ漫画といえば…の一つ『SWAN~ドイツ編~』は日本公演が終わったばかりのノイマイヤーも登場しています。
美麗な絵がさすがです。

『談ス』~誰にでも楽しめる“ダンス”~

キレッキレのダンサー達が身体で真剣に「遊んで」見せる。

観客はその姿に引き込まれ、そしてその姿を「楽しむ」。

 

なんて少しだけ恰好付けて書く事もなく、楽しい!というダンス作品だと思います。大植真太郎氏、森山未來氏、平原慎太郎氏の三人のダンサーによるパワフルな舞台。

バレエの観客でもあまりダンスは見ないという方でも見て、わぁ、と思ったり楽しんだりできる作品です。でも実は…という。

ヒントは「談ス」というタイトルにあるのかな。

舞台はライブがやはり一番ですので、是非足を運んで見て下さい。

 

ダンスにしては珍しい日本の長いツアーも話題です。

その初日があまりコンテンポラリー・ダンス公演には使われない鎌倉芸術館でしたので足を運びましたが、行ったかいのある何とも楽しい時間でした。先月はスウェーデン公演をしていた作品ですが、あちらの観客も個性的だったようです。

あなたの町にもやってくるかも。

 

『談ス』特設サイト:

http://dansu2016.com/

第10回 日本ダンスフォーラム賞 JaDaFo Dance Award 2015決定

先月皆で集まり協議を重ねて結果をリリースできる時期になりました。私もメンバーとなっている第10回 日本ダンスフォーラム賞JaDaFo Dance Award 2015が決定いたしました。
協議は毎回なかなか面白いやり取りがあり、時に舌戦?などという瞬間も。
受賞者の皆さまおめでとうございます!+賞を受けて下さってありがとうございます!

 

日本ダンスフォーラム賞 受賞
東京ゲゲゲイ Tokyo Gegegei
森山未來 Mirai MORIYAMA

 

日本ダンスフォーラム賞 特別賞 受賞
室伏鴻 Ko MUROBUSHI

 

日本ダンス・フォーラム(JaDaFo)のfacebookがオープンしました。
facebook ページ

2月は舞台が盛りだくさん。ジャンルも様々!

『白鳥の湖』はよこすか劇術劇場で見ました。

仮設テントはタマネギ屋根。

場内撮影は禁止。パネルはトーテム尽くし。

東京バレエ団、『白鳥の湖』

秋元康臣さんは10代から輝くような才能を発揮していたダンサーでNBAバレエ団、K Ballet、ロシアで活躍後帰国。昨年のバレエ団入団は驚かされたニュースでした。

東京バレエ団入団後初主演の『白鳥の湖』は是非に、と出かけました。

高くて伸びのあるジャンプといった従来の魅力に加えて表現力、サポート力がより磨かれた印象。今後はより演劇的な作品でも見てみたいと思うダンサーです。ブルメイステル版では準主役級に活躍する道化には昨年新国立劇場バレエ研修所を卒業された山本達史さんが大きな踊りに加え達者な演技で舞台を盛り上げていました。

東京公演が他の公演と重なり行かれなかったのでとても久しぶりに横須賀の芸術劇場に足を運びましたが、そうした方も多かったのかメディア関係者含め都内劇場で見る顔ぶれも沢山見かけました。

 

宝塚、月組公演『舞音』/『GOLDEN JAZZ』

『マノン』をベースにした作品ですが舞台は植民地時代のベトナムに移され、独立運動を繰り広げる中の二人の恋物語。振付は元ハンブルク・バレエ団の大石裕香さんが手がけられ、作・演出の植田景子さんはノイマイヤーの元へ留学した時期もあり、今回の作品にも「ノイヤマイヤー的」な雰囲気が随所に感じられました。とはいえ、宝塚らしさは健在で映画『インドシナ』(私も大好きな映画です)のムードも漂う、壮大な愛の物語でした。幕切れの美しさも宝塚らしいと感じました。

『GOLDEN JAZZ』は観客が自前のタンバリンを打つ姿に圧倒されました。こういう楽しみ方もあるのですね! キラキラとした宝塚ならではの時間でした。

 

ロベルト・ルパージュ演出、シルク・ドゥ・ソレイユ『トーテム』

ルパージュ演出のシルク・ド・ソレイユ2作品目。「人類の進化をテーマとした」大人向けテーマを内包するショーではありながら、飽きさせない演出の「シルク」でした。生演奏の魅力と随所にちりばめられた超絶技巧に目を奪われます。満員の客席を大いに沸かせました。

 

 

素敵な青空の下、『ウェストサイド物語』と『ライオン・キング』が同時上演で熱気一杯。

劇団四季、『ウェストサイド物語』

新演出が話題の『ウェストサイド物語』が開幕しました。もしかしたら私が初めてみたミュージカル映画は『ウェストサイド物語』かもしれません。(『サウンド・オヴ・ミュージック』の可能性もありますが)いずれにしろ誰もが知るミュージカル作品。

その新演出ということで期待して出かけました。迫力のある舞台。民族間、社会的弱者同士の対立に置き換えられた『ロメオとジュリエット』は今の日本でも哀しいですがリアリティがあるように思います。帰り道の観客からも「なんか色々考えちゃうね」という声も聞こえました。一方でバーンスタインによる音楽は圧倒的、今も耳の中で「Tonight」が鳴っています。

 

 

夜景も美しい赤レンガに輝くダンス・コレクション案内

横浜ダンスコレクション2016、日本・フィンランドダブルビル:『CHIMERA』『This is the title』

1月23日から横浜赤レンガ倉庫で断続的に開催されてきた横浜ダンスコレクション2016も2月14日『日本・フィンランドダブルビル』で幕を下ろしました。

今年のコンペティションは2日間しか行かれず、受賞発表はTwitterで知りました。コンペティションIは見た日の多くが受賞していました。審査員賞Aokid×橋本匠『フリフリ』、若手振付家のための在日フランス大使館賞受賞浜田純平『Convey』、Touchpoint Art Foundation賞とMASDANZA賞受賞は渡辺はるか『グランドフィナーレ』。翌日のコンペティション出演の奨励賞受賞の伊東歌織『四角形のゆううつ』はどんな作品だったのか気になります…。

長谷川達也率いるDazzle新作『CHIMERA』はコンテンポラリー・ダンスでは少ない群舞の見せ方が巧みな振付。圧倒的なコアがあったら完璧かも、と思いました。

来週はNoism『カルメン』の再演、月末には『エトワールへの道程2016』など、短い2月もまだまだ舞台は続きます。

コンテンポラリー・ダンス・マガジン『DANCEART』 VOL.42 2016 JANUARY

『春の祭典』100周年当日、劇場も100周年でした。劇場からのサプライズで、出ると見えるエッフェル塔も100年前の照明になっていました。素敵な夜でした♪

コンテンポラリー・ダンス・マガジン 
『DANCEART』 VOL.42.2016 JANUARY
1000円+Tax
が発売となりました。

特集は『春の祭典』
「ニジンスキー版『春の祭典』、歴史的な意義~バレエを超越するバレエ~」を執筆いたしました。
2013年、『春の祭典』100周年記念のパリ、シャンゼリゼ劇場公演についてはこれまで色々はところでお話ししてきましたが、書いたのはここが初めてかもしれません。是非お手に取ってみて下さい。
他の記事も充実です!

 

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さいたま芸術劇場で『DUST』

初日楽屋乾杯でアヴシャロム・ポラック氏と。 
Photo:Emi Hiruta

公演が多くて見きれない1~2月ですが、そんな中、インバル・ピント&アヴシャロム・ポラック・カンパニーの『DUST』をさいたま芸術劇場で見てきました。作品が完成してから付けられたタイトル『DUST』にはすべては塵になる、一方で塵はつもれば何かになる…という意味もあるそう。(ポラック氏談)日本人が見るとつい地震や津波を連載してしまう幕開きですが、もちろんイメージはそれだけに限定されることはなく広がっていきます。このカンパニーらしい醍醐味の豊かさ、多層性を感じさせる作品でした。

2001年に『オイスター』で初来日以来見続けているカンパニーですが、『オイスター』に次いで好きな作品でもありました。

横浜では、恒例となったダンス・コレクション(~2月14日まで)も開幕していますし、週末には白井剛×中川賢一×堀井哲史という豪華顔ぶれによる『ON-MUYAKU2016』も上演されました。白井氏のこれまでにないダンサーとしての存在感が印象に残りました。今週末には新国立劇場『ラ・シルフィード』も開幕しますし、身体がいくつもあればいいのに、と感じる公演の多さです。

BSスカパー番組のお手伝いをしました

ほんの少しだけお手伝いをした番組が放映されます。
撮り下ろされた最新の熊川哲也さんのインタビューの内容も盛り沢山です。迫力ある『海賊』はこのカンパニーならではのものではないでしょうか。

 

STAGE LEGEND~伝説舞台~#23
Tetsuya Kumakawa K-BALLET COMPANY Climax of 15th Anniversary『海賊』
放映:
1月24日(日)22:00~
2月  7日(日)22:00~

 

▼番組の予告編は、下記になります。
https://youtu.be/_E13klyJ3UQ

2015年のお話~個人的映画ベスト3~

ライヴ・ビューイング含め、バレエ映画の公開も例年より多い年でした。近年増えていますが、バレエやバレエ公演への入り口になればいいなと思っています。『ボリショイ・バビロン』は公開中に人事が発表されるなど映画の続きが現実で…というリアルもありましたし、話題の多い年だったように思います。

そんなバレエ映画も見たものの、今年の極私的なベストは以下の3本です。

1.『パリよ永遠に』(原題:DIPLOMATIE) 監督:フォルカー・シュレンドルフ、仏・独、2014年(日本公開2015年)

舞台のほとんどが現在もパリ屈指の高級ホテルとして知られるホテル・ムーリスの室内。パリの徹底的な爆破と破壊を命じられたドイツ軍防衛司令官コルティッツとパリで生まれ育ったスウェーデン領事館ノルドリンクのやり取りが中心ですが、それぞれの立場、言葉、心の駆け引き、どれもが観客を惹きつけ、全く飽きさせません。ウィットに富み、時に皮肉を言い合いながら妥結点を見出すという「外交」の原点のような会話。

 舞台をベースにした作品だそうです。原題の外交官の方が内容に即しているように思いますが、邦題には「パリ」なのかしら、と思ったり…。

外交、というのはどういうことなのか、外交のあるべき姿をみたような清々しい気持ちになる一本でした。知識、文化、知恵、といったものを駆使して行われる国同士でありながら個人対個人にもなりうる「外交」が時代の変化の問題ではなく、人材という点でも現在の日本との他国ではもはや臨むべくもないという現実には情けないばかりですが…。

エンド・ロールで流れたジョゼフィン・ベーカーも印象的でした。彼女をデビューさせたのがバレエ・スエドワ主宰者だったスウェーデン貴族ロルフ・ド・マレ、というのはもっと知られて欲しいなとも思いつつ。

2.『パレードへようこそ』(原題:PRIDE)監督:マシュー・ワーカス、英国、2014年(日本公開2015年)

バレエ映画としてヒットした『リトル・ダンサー』も実は舞台の半分は炭坑で、炭鉱夫のデモの画面が沢山ありました。同じ時代の炭坑夫の戦いをゲイが支え、最初は戸惑いつつも共に手を取り合って戦っていくという姿が描かれた一本です。未だLGBTとの共闘の可能性が極めて低い日本から見ると信じられないような気持ちになりますが、英国のある種のリアリティのある美しいストーリーです。

ちなみに映画『リトル・ダンサー』のミュージカル版『ビリー・エリオット』は来年日本公演予定。ミュージカル版を改めてライブ・ビューイングで見ましたが、ロンドンでは聞き取れなかったディテールが分かって興味深い点がありました。

3.『GONIN サーガ』監督:石井隆、日本、2015年

たまたま深夜番組でこの映画の第1弾が放映されていて、見始めたら止まらなくなりました。その後の監督インタビューで、最近は原作がある映画が多いが、自分は映画でしかできない映画を撮りたいと、それができている幸せな監督だと自覚しているという要旨の発言をなさっていて、俄然興味がわき、見に行きました。

出張先神戸でしたので、山口組分裂抗争最中でもあり、その筋のような方もちらほらと…という臨場感のある劇場で楽しみました。

任侠物とくくってはいけないでしょうけれど、歌舞伎の忠臣蔵からつながる、仁義で生きる人達の熱さは見ていて納得させられるものがあります。「絆」より「仁義」かな、という…。世代を経て因縁、まさにサーガという映画。まだ続編を期待したくなります。

2015年のお話~個人的ステージベスト3~

ローマ歌劇場楽屋通路にて

ローマ歌劇場正面、中央ポスター2枚がナイチンゲール

1.ローマ歌劇場バレエ団『ナイチンゲールの歌』、ローマ歌劇場

「幻」のバレエ・リュス作品が上演されると聞いてかなりの強行軍でローマまで見に行きました。「幻」というのは、ディアギレフが依頼し、美術・衣裳デザインが完成したにも関わらず上演されなかったからです。(実際に上演されたのはその後アンリ・マティスに依頼し直されたのもの)

未来派の画家の一人だったフォルトゥルナート・デペーロによる衣裳は「ナイチンゲール」以外は造形物といった方がいいような形のものばかり。デペーロ・デザインは上演されたことがないので、マティス・デザインで上演された際のレオニード・マシーン振付によるものでした。デペーロ・デザインで上演されていたら振付も違うものになっていたと思いますので、フェアな見方ではないかもしれませんが、今回の舞台を見て、ディアギレフがデペーロ・デザインを採用しなかった理由の一端がわかったような気がしました。つまり、デペーロ・デザインを不採用としたのは、ディアギレフが想像以上に「ダンス」を踊る「身体」というものを大切にしていたからではないかと感じたのです。

やはり、資料だけでは分からない事は沢山あるものです。研究というのは手間がかかっても「現場へ行く」というが欠かせないと改めて思いました。

同時上演された、『カルミナ・ブラーナ』は正直なところ特に期待していなかったのですが、素晴らしい作品でした。エマニュエル・ウンガロのデザインのオシャレな衣裳は舞台衣装として素敵なだけでなく、着てみたいと思うものも…。初日カーテンコールでは82歳になるご本人も晴れやかな顔で登場しました。ローマ歌劇場の芸術監督でベルギー人の父を持つミシャ・ヴァン・ホッケのスタイリッシュでパワフルな振付と相まって忘れられない『カルミナ・ブラーナ』になりました。ちなみに、ホッケはバレエ・リュスの重要なダンサーの一人オルガ・プレオブラジェンスカヤに学び、プティ、ベジャールの元で踊った後、ムードラの芸術監督も務めたという20世紀バレエ史を体現するような人物です。

ローマ滞在は短いながらも、この他にフォルトゥナート・デペーロ展に加え、思いがけなく会期延期されていたカラヴァッジョ展も見ることができる幸運に恵まれました。研究の面から意義深い旅だっただけでなく、プンタレッラの時期でもあり、美味しいお食事ももちろん楽しみました。

2.坂東玉三郎『壇浦兜軍記 阿古屋』、歌舞伎座

初めて見た歌舞伎は、父に連れて行ってもらった「タマタカ」の『仮名手本忠臣蔵』お軽勘平でした。藤色の着物の玉三郎のあでやかさ、巻物の手紙を手繰る手つき、今でも鮮明に思い出せるほどです。もう演じないとも言っていたような気がする『阿古屋』を上演すると聞いて、見に行きました。バレエと違い年齢を重ねた芸の深淵も魅力的な歌舞伎。個人的には「眼福」と言うほかないと、出てきた時につい「ほぉ~」とため息が出るのも納得できる美しい姿でした。私は歌舞伎は素人ですから、楽しみとして、また個人的な贔屓も強いとは思いますが、いいものを見ました。新春の坂東玉三郎は『郭文章 吉田屋』の「夕霧」、と大役続きです。こちらも楽までに是非見に行きたいと思っています…。

3.ボヴェ太郎『寂寥の薫-能≪楊貴妃≫』、京都文化博物館別館ホール

トヨタ・コレオグラフィー・アワードに出場された頃からほとんどの公演を追いかけてみているダンサー・振付家。抑制され、そぎ落とされた動きながら、空間を“ぐわん”と動かし、時にかき回すような独特の身体は他に例がないと感じています。

それゆえに次作への期待も大きくなってしまうにも関わらず、ほぼ毎回その期待を上回るすごさがあります。最近はより難しい、使いこなしにくい会場を舞台にする傾向があるかもしれません。

 

今回は京都文化博物館別館、国立指定重要文化財だそうですが煉瓦のホールが会場でした。そこで響く能楽は能楽堂とは全く違う、ロック、ともいえるような力のあるもの。その中で舞う肉体は時にあでやか、そして時に悲痛、とあっという間の時間でした。(ダンスというよりもご本人も使われていますが「舞う」と言う言葉がしっくりきます)今後の活動もとても楽しみです。

東京公演が少ないと言う声も聞きますが、遠くまででも見に行く価値があるでしょう。関西公演がほとんどなので、「京の都」を楽しむこともできますし…。

 

ボヴェ太郎ウェブサイト:http://tarobove.com/