映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』本日公開!

『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』

3月のパリの地下鉄で写真を撮る人が絶えないので何かしら、と思ったらポルーニン出演のDIESELの広告でした。“MAKE LOVE NOT WALLS”(下には小さくフランス語)確かに‼‼

『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』

美しい写真やインタビューが満載のパンフレット。私も“「野獣のよう」と評されるダンサーの系譜~ニジンスキーからポルーニンまで~”を寄稿しました。是非会場で!

『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』

光降り注ぐ中のポルーニンは何を祈っているのでしょう…

 今年公開されるバレエ映画の中でも多方面から注目を集めるのがこの映画です。You Tubeでの「Take me to church」は現時点で1200万回という驚異的なView数となっています。その数字はポルーニンがバレエ関係者以外の人にも知られたと言う事を証明していると言えそうです。
実際、私も思いがけない場所でこの映画が公開される随分前から、いつ公開かと聞かれたり、とこれまでのバレエ映画とは全く違う手応えを感じました。
以前こちらでもご紹介したイヴェントでのポルーニンは背景がパイプオルガンだったこともあって、映像とは別の魅力もありました。

 

 映画は何かを極める事の熾烈さとそこから立ち上がり前を向いた人間の透明感ある強さを感じさせるもので、何回も見たいと思う出来栄え。年代、自分の状況、それぞれに「刺さる」台詞や場面がありそうです。

 

 写真展、来場者プレゼント、SNSプレゼント等イヴェントも目白押しです。公式サイトで順次更新されています。

 

公式サイト:
 http://www.uplink.co.jp/dancer/

Leningrad hotel

『レニングラードホテル』と『桃』~“美丈夫”の日?~

Leningrad hotel

ムード溢れる『レニグラード・ホテル』入口。お花も沢山届いていました。

桃

入口に飾られているのはフライヤーの表、内側とのコントラストが印象的

モノクロを開くと色っぽい桃色、なのですがこれも上手に撮るのは難しい色

舞台の多い時期でどれを見に行くか迷います。
昼はスパイラルホールで『レニングラードホテル』、夜は神楽坂セッションハウスで『桃』。

 

『レニングラード・ホテル』は首藤康之さんとCAVAによるもの。
チラシ、ポスターの雰囲気そのままの洒脱でスタイリッシュな舞台。席におかれているインビテーションカードのような当日プログラムも洒落た作りでした。台詞がないのに台詞が聞こえてきそうな独特の世界をキャラクター設定がはっきりした出演者で楽しむことができました。
首藤康之氏の存在感は舞台を引きしめているように感じました。バレエ・ダンサーから始めて着実に新しい表現の世界を広げていく首藤康之氏の姿は頼もしいな、と感じます。そしてもっと見たいと思った舞台でした。

 

夜は『桃 Spooky action at a distance!!』
こちらは言葉も発する作品でしたが、色々な感覚を刺激してくる舞台でした。振付の鯨井謙太郎氏は意外な事にソロは昨年が初めて、今回は多人数のダンサーを振付。これまでと違う方法論を試みたとの事で、定方まこと氏とのユニット、CORVUSともまた違った世界観で、この先も楽しみ。
当日プログラムの「地上で起る事は 地上で終る 地上で起こらぬ事は 地上で終わらぬ」という一文が残りました。

 

そして、アフタートークでもなるほど、と思う事が色々ありました。
まさか本当のお母さまとの共演とは不勉強にして気付きませんでしたし。
鯨井氏は何といっても身体が切れるので、動いてしまえば圧倒的なのですが、動かず表現をというところはまだまだよくなりそう。

 

いずれも見応えのある公演でした。

POP、書きました!

『祇園祭の愉しみ~山鉾と御神輿の悦楽~』の書店用POPを20枚程書きました。京都の書店を中心に展開しておりますので、探してみて下さい。
実はPOPを書いたのは初めて。一人でも多くの方に本が届きますように。

 

そのPOPに使わせていただいたのが「乙女の祇園祭」さんの新製品のマスキングテープ。
今年はこの他にお家で鉾建てができるはがきサイズの鉾カードも発売されるそうで、先日会社に伺った際に見せていただきました。毎年宵山にはお店を出されるので絶対購入リストに入っています。御朱印集めをされる方は今年発売の2種類と全4種あって、房もかわいい御朱印帳なので、こちらも是非。

http://www.otomenokyoto.com

ジゼル

『ジゼル』から『Mariage』へ… 『ジゼル』@上野 東京文化会館  CAT-A-TAC『Mariage』@神楽坂 セッションハウス

新国立劇場バレエ団の『ジゼル』 劇場は実は水辺にあるとも言えます(ヒラリオン・ハンスが落とされるのは沼ですけれど)

ジゼル

K Ballet『ジゼル』の公演プログラムはいつも大判サイズです

CAT-A-TAC

作品フライヤーからも楽しさが伝わる?!

グッズデザイナーでもある藤田善宏氏によるグッズも魅力的。昨年のバッグと今回のTシャツ。あまりグッズに興味がない私もつい欲しくなる可愛さです。

 今年の日本は『ジゼル』の当たり年と言えそうです。
ボリショイ・バレエ団に始まり、新国立劇場、K Balletと『ジゼル』が続きました。
難しい事は承知ですが、“『ジゼル』共通チケット”のようなものがあれば、手軽に違うカンパニーで同じ作品を見る楽しさを多くの人が楽しめるのに…と思わずにいられません。バレエは作品で見ても面白いですし、人で見ても、縦糸横糸色々なので、そうした楽しみ方に多くの人がアクセスできればいいなと思います。

 

 『ジゼル』は『白鳥の湖』と違って結末がバージョンやバレエ団によって違うということはありませんが、役名含め違いはあります。
また、人物や心情の描き方も様々です。ジゼルは気弱で病弱な少女なのか、元気いっぱいだけれど心臓に持病があるという影を持つ少女なのか、アルブレヒトの恋は戯れなのか、本気なのか、そしてヒラリオン(新国立バレエ団上演のセルゲーエフ版ではハンス)の姿は粗野で向こう見ずな姿から、「愛されキャラ」まで幅広いですから、見どころが沢山。同じバレエ団でも踊る人によって作品世界はもちろん変わりますから、そんな楽しみ方もしたいものです。

 

 K Balletの荒井裕子氏のジゼルは本当に可愛らしい町娘。その純真な恋心が悲劇へ向かう様は心に迫るものがありました。ジゼルになってからの凛とした姿、そしてふわりと跳ぶ様はやっぱりロマンティック・バレエの傑作の一つだなと思う出来栄え。
山本雅也氏は瑞々しい王子を演じ、好印象。堀内将平氏のヒラリオンはジゼルに獲物ではなく花をプレゼントしますが、それにすら気付いてもらえず、苛立ち、苦しむ姿も印象に残りました。また、アルブレヒトの従者ウィルフリードの心情、行動にはリアルな人間を感じました。
 新国立劇場の『ジゼル』は木村優里氏で見ましたが、とても丁寧で繊細なジゼル、本当に飛んで消えてしまいそうな儚い佇まいでした。渡部峻郁氏は少しのほほんと育てられた王子という印象、ハンスの中家正博氏の演技力はインパクトの強いものでした。
 写真が撮れませんでしたが、ロビーの氷のデザートも気分にも陽気にもぴったりでした。こういう「遊び」も劇場には大切だな、と思います

 

 『ジゼル』を見た後で向かったのは『Mariage』…とちょっと面白い取り合わせになりました。
CAT-A-TACはコンドルズのメイン・ダンサーの一人である藤田善宏氏の個人ユニットですが昨年12月の『FUTARI de ZUCCU』も楽しくてちょっとキュンとする作品でした。今回も遊び心に溢れ、肉体的には実は難しい場面もさらりと面白く見せたり、何とも軽やかで個人のキャラクターが立った作品で、楽しく幸せな気持ちになりました。説明的すぎないけれどストーリーはクリア。まさにフライヤーにある「ちょっと変わったパフォーマンスダンスストーリー」の通り。
 ダンスにあまりなじみがない人をお連れしてもきっと楽しんでいただける作品。それでありながらダンスとしても面白い!藤田善宏氏の作品は今後も見たいな、楽しみだなと思います。

ダンスカフェサロンinあうるすぽっと2017『現代舞踊学セミナー』

ダンスカフェサロンinあうるすぽっと2017『現代舞踊学セミナー』が下記の通り開催されます。
私は秋の後期1回目に登壇いたします。1992年にパリ・オペラ座でみた『白鳥の湖』、そして今年香港で見たミュンヘンバレエも印象的な毛利臣男さんの衣裳からバレエ、歌舞伎に迫ります。

 

前期「ダンスのジオグラフ」
第1回 8月12日(土)16:00「マメリカンダンスの系譜:モダンとポストモダン」講師:石井達郎 ゲスト:折原美樹・加藤みや子
第2回 9月23日(土)15:30「フィンランドのコンテンポラリー・ダンス」講師:立木燁子
第3回 10月14日(土)19:00「謎多きダイス大国イスラエル:その秘密を探る」講師:乗越たかお

 

後期「ダンスの観方、読み方」
第4回11月11日(土)19:00「踊る衣裳~スーパー歌舞伎からパリ・オペラ座まで~」講師:芳賀直子 ゲスト:毛利臣男
第5回12月9日(土)19:00「ベルギーダンス:ローザスを中心にその魅力を語る」講師:カテフミ ゲスト:前田圭蔵
第6回2018年1月20日(土)16:00「ダンスと演劇―身体と歴史」講師:竹重伸一 ゲスト:鴻英良

 

料金:500円
お問合・ご予約:dancecafe-21@krb.biglobe.ne.jp
メールは件名:「ダンスカフェサロン申込」
➀参加希望講座日程、②お名前(同伴者有無)③ご連絡先(電話もしくはemail)をお知らせ下さい

新刊『祇園祭の愉しみ~山鉾と御神輿の悦楽~』発売のお知らせ

『祇園祭の愉しみ~山鉾と御神輿の悦楽~』(京都しあわせ倶楽部)、PHP出版

『祇園祭の愉しみ~山鉾と御神輿の悦楽~』(京都しあわせ倶楽部)、PHP出版
2017年6月18日発売
定価1500円(税別)

 

お祭への想いとリスペクトと10年以上の知恵をぎゅっと詰め込んで、心を込めて書いた一冊です☆
バレエとの意外な共通点も少し…。
「よそもん」の私が通い続けて見つけた穴場、秘密にしておきたい場所もえい!とご紹介しています。
是非お手にとっていただき、今年の祇園祭(土日ですから行きやすい方が多いのでは…)を楽しんでいただけたら、と思います。
予約開始となっているサイトもありますので、よろしくお願いいたします!

 

Amazon

 

honto
https://honto.jp/netstore/pd-book_28440234.html

 

紀伊国屋書店
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784569833613

パンフレットの中心は猿田彦のイラスト

初めての「鎌倉祇園」~ 京都のお祭を追いかけていたら地元のお祭に出会いました~

パンフレットの中心は猿田彦のイラスト

パンフレットの中心は猿田彦のイラスト

八雲神社から白丁烏帽子姿たちに担がれて御神輿が出発、大町町内をめぐります。

大町四つ角での神輿振り。

大町四つ角での神輿振り。夜ははんてん姿で担がれます。「悪疫退散招福繁昌」が奉舁するひとにも参拝する人にも約束されるそう。

祇園祭の本を書いていたお正月にたまたま立ち寄った八雲神社。「神社略記」によると1081~1084年頃、鎌倉で悪疫に苦しむ住民を見て新羅三郎義光公が京都の祇園社を勧請し祈願したのが始まりとのこと。

 

そういえば大町にある「祇園山」は小さい頃ハイキングに行った記憶がぼんやりとありますが、その「ぎおんやま」が「祇園」と関係あるとは考えてもみませんでした。(明治維新で「八雲神社」に改称されたそう)

 

今年は近くにお住まいの方にお招きを受けてひさしぶりにのんびりとした日を楽しみました。白装束は清々しく、夜の三基の御神輿が出る場面はなかなか壮観。

ボリショイ・バレエ団来日公演@東京文化会館

左からワディム・レーピン、スヴェトラーナ・ザハーロワ、デニス・ロヂキン

左からオリガ・ゴロジェツ ロシア連邦副首相、ウラジーミル・ウーリン ボリショイ劇場総裁、アレクサンドル・ジュラフスキー 文化副大臣(写らなかったのですがアンドレイ・コンチャロフスキー映画監督、エヴゲーニー・アファナシエフ駐日ロシア大使らも)

フォトセッションを待つ美しきザハロワ。記者会見なのに圧倒的な美しさに目を奪われてしまいました…

会場内には来日60周年についてのパネル展示も…

あまりいい写真が撮れなかったのでオフィシャルより、ワディム・レーピンとスヴェトラーナ・ザハーロワ

 ボリショイ・バレエ団が来日公演を行っています。初来日から60周年も話題です。最近使われなくなった言葉ですが、オーケストラ、指揮者、バレエ団の「引っ越し公演」です。

 

『ジゼル』を見に行きました。沢山のジゼルを見ていますが、今回のボリショイ・バレエ団の『ジゼル』、主役はもちろんですが、群舞のすばらしさやクーランド公の圧倒的な存在感と演技力も強く印象に残る独特の味わいでした。技術のすばらしさは言うまでもなく、しかも高レベルに揃っていて圧巻です。作品全体を通じて世界がしっかり立ち上がる「舞台芸術」としての美しさが堪能できました。
 これから見る『白鳥の湖』、『パリの炎』もとても楽しみ。
 まだ公演によってはチケットがあるようですから、迷っている方は是非!!と関係者でもないのに宣伝したくなる素晴らしさです。

 

 以前マリインスキー・バレエ団が2000年の来日公演で『眠れる森の美女』を上演した時もあまりに素晴らしくて、帰途電車内から知り合いに見た方がいい!!とメールし続けたのを思い出しました。その振付家セルゲイ・ヴィハレフの死去の報には驚きました。ご冥福を心から祈ります。復元上演にも積極的に取り組まれ、一方で新作もとまだまだ活躍が期待されていた振付家でしたから本当に残念です…。

 

 公演の前にロシア大使館での『ロシア・シーズン』及び『トランス=シベリア芸術祭in Japan2017』記者会見に出席しました。
政府肝いりで始まった『ロシア・シーズン』とあって副首相も出席する会見となりましたが、詳細はこれからといったところのよう。(プレス資料にも「セゾン・リュス」と「ロシア・シーズン」が混在、会見ではバレエ・リュスの「セゾン・リュス」にちなんでというようなニュアンスの発言もありましたが、バレエ・リュスの「セゾン・リュス」は1年目の準備期間はロシア帝室を背景にしていたものの、結局はそれらの援助を失ったセルジュ・ディアギレフによる興行でしたから「?」という気持ちも…。専門家はロシアには沢山いるはずですから色々な事情があったのでしょう。)
『トランス=シベリア芸術祭 in Japan2017』の芸術監督はワディム・レーピン。スヴェトラーナ・ザハーロワとは夫婦ですが、どちらも最高峰の芸術家。開催は渋谷Bunkamuraで2プログラム『SVETLANA ZAHAROVA AMORE』が9月26日、9月27日、『PAS DE DEUX FOR TOES AND FINGERS』が9月29日。(前橋公演は10月1日)
前者はザハロワの会見での言葉を借りれば「愛というテーマに貫かれた3つの作品」、まったく違う世界なので「「百聞は一見にしかず、是非両方見て欲しい」とのこと。

 

 ザハーロワが圧倒的な美しさで、自ら日本が夫との出会いの場所だったというエピソードも披露しました。共演するデニス・ロヂキンも会見で抱負を語りました。どのような公演になるのでしょうか。